2012年11月から好景気が続き「いざなぎ景気」を超え、2018年1月で62ヶ月続いていると報じられています。
しかし、この間もサラリーマンの手取り収入は減り続き(給与額面から所得・住民税と社会保険料を引いた額)、2003年の平均587万円から2018年は537万円と50万円減っています。
今年(2018年)は、政府が収入増を叫んでいますが、手取り収入の増加はわずかしか期待できません。
教育費や住宅購入費の増大、さらには100歳時代と言われる長寿社会を迎え、余裕のある生活と老後資金作りの見通しが立たない方も多いと思われます。
老後生活に誰もが期待する公的年金の支給額も減りつつあり、マクロ経済スライドの中で増大は期待できません。
手取り収入の増加が見込みにくい社会で、収入を増やす方法に以下があります。
- 投資
- 副業
- 生涯現役(定年後の再就職)
- 共働きなど
副業を認める企業も多く出てきて、以前に比べ副業を行いやすくなっていますが、本業の空き時間に行うので特殊技能や資格を持たない限り、通常は多くの収入を期待できません(生活に余裕は出てきます)。
そこで、注目されるのが投資です。
投資には、調査・初期資金作り・決断と注視が必要で、最初はハードルが高いのですが、手取り収入増が望みにくく収入が上がらないこの時代には投資は避けることはできません。
比較的、ハードルの低い「不動産投資」について紹介します。
金融資産の現状
日銀は、2016年末の家計金融資産は、1800兆円と発表しています。
裕福層が多くの金融資産を有しており、通常の世帯とはかけ離れています。
金融広報中央委員会(事務局は日本銀行情報サービス局内)の資料によると、金融資産の現状は以下になっています。
金額は、平均ではなく実態にあった中央値(単位は万円)を使っています。
金融資産
2017年の金融資産(中央値)の状況は、以下のようになっています。
世帯主の年齢 | 金融資産のある世帯 | 金融資産のない世帯を含む全世帯 | |
全年齢 | 1,000万円 | 380万円 | |
30歳代 | 420万円 | 200万円 | |
40歳代 | 650万円 | 220万円 | |
50歳代 | 1,100万円 | 400万円 | |
60歳代 | 1,400万円 | 601万円 | |
70歳代 | 1,500万円 | 600万円 |
金融資産のある全世帯の平均値は、1,729万円なので中央値とは大きく離れています。
種類別金融資産保有額
保有している金融資産の種類別金額(平均値で単位は万円)とその割合(百分率)を以下に示します。
世帯主 | 金融資産 | 預貯金 | 生命保険 | 個人年金保険 | 株式 | 投資信託 |
全年齢 | 1,729 | 937(54%) | 289(17%) | 102(6%) | 154(9%) | 105(6%) |
30歳代 | 735 | 408(56%) | 164(22%) | 33(4%) | 37(5%) | 35(5%) |
40歳代 | 1,014 | 525(52%) | 227(22%) | 67(7%) | 64(6%) | 35(3%) |
50歳代 | 1,689 | 780(46%) | 357(21%) | 171(10%) | 159(9%) | 72(4%) |
60歳代 | 2,062 | 1,124(55%) | 349(17%) | 144(7%) | 143(7%) | 120(6%) |
70歳以上 | 2,512 | 1,461(58%) | 294((12%) | 68(3%) | 296(12%) | 211(8%) |
資産作り
上の金融資産の現状に示したように、金融資産は預貯金が多く生命保険(個人年金保険も含む)、株式、投資信託の順になっています。
この他に、誰もが行なっている資産作りに公的年金(国民年金には20歳以上の全員が加入)があります。
65歳から受給する場合には、年金の年額は以下になります。
- 国民年金の年金額(満額)は779,300円で90歳までに約1,950万円
- 厚生年金の平均年金額は男性で216万円、女性で108万円
- 厚生年金を90歳まで生きると男性で5,400万円、女性で2,700万円
国民年金は、40年払込の額なので未払い期間があると減額になります。
厚生年金は、加入期間の給与で変わり、加入期間が長く平均的に給与の高い男性が多くなっています。
厚生年金には、厚生年金基金があり加入していると年金額がアップします(加入は会社単位)。
国民年金にも、国民年金基金があり加入すると年金額がアップアップします(加入は個人単位)。
公的年金は、65歳から受給するのが一般的ですが、60歳(繰上げ)あるいは70歳(繰り下げ)から受給もできます。
- 70歳から繰り下げ受給すると年金額は65歳より42%アップ
- 60歳から繰り上げ受給すると年金額は65歳より30%ダウン
現状では繰上げ受給を選ぶ高齢者が多いのですが、人生100歳の長寿時代に向かっていますので、可能ならば70歳からの繰り下げ受給にすると資産作りに有効と言えます(年金額が42%アップ)。
共働き世帯では、5,000万円から1億円超えも期待できます。
様々な貯蓄方法のメリット・デメリット
不動産投資も含めて、資産作りのメリットやデメリットを以下に示します(生命保険には個人年金保険も含みます)。
種類 | メリット | デメリット |
預貯金 | 貯めやすく安全でいつでも現金化 | 金利が低くインフレに弱く資金を増やしにくい |
生命保険 | 貯めやすく安全 長寿時代に終身保険も可能 |
貯める保険の金利が低くインフレに弱い |
株式 | 配当や値上がりが期待できインフレにも強い | 株の選択・注視が必要で価格変動が大きく初期資金の手当てが必要 |
投資信託 | 預貯金より高い配当が期待できインフレにも対応可能、かつiDeCo、NISAで節税 | 商品の選択・注視が必要で手数料が高く初期資金の手当てが必要 |
公的年金 | 誰もが加入し安全で終身受給 | マクロ経済スライドで将来の年金額が抑えられる(減額) |
不動産投資 | 株式や投資信託より安全で収益も同程度期待できインフレにも強く少額から始められる | 空き部屋の可能性があり維持・管理が必要(管理会社に委託できる) |
公的年金
公的年金は、自営や勤務先で決まり基本的に個人として関与がない(保険料の払込が必要)ので、これからの資金作りには工夫できません(国民年金は国民年金基金や付加年金に加入できます)。
生命保険は、外貨建て保険や長寿時代に向けたトンチン年金などが注目されていますが、マイナス金利の時代、万一の場合の保険(定期保険)に絞るのが基本です(金利が上がる時代になれば個人年金保険等の増やす保険も検討になります)。
現時点の資産作りには、株式、投資信託、不動産投資が考えられますが、メリットが大きくデメリット(リスク)も少ない不動産投資を取り上げて紹介します。
不動産投資
不動産投資は、土地・建物を個人(資金が必要)あるいは共同(少額でも可能)で取得し、賃貸あるいは売却して利益を得る方法です。
土地の取得、建物の建設、入居者の募集、建物・部屋の維持・管理、資金手当など多大な作業がありますが、業者に委託あるいは業者からの募集に参加して行うことで作業を減らしリスクを減少させることができます。
投資の対象
不動産投資の対象には、以下があります。
- アパート運営
- マンション賃貸
- 戸建賃貸
戸建賃貸は、1部屋のアパート運営とも考えられるのでアパート運営に含めます。
戸建賃貸には民泊(多くは外国人旅行者)が期待できますが、民泊新法の施行が2018年6月15日から始まる段階(現時点は2018年2月)で予約サイト(Airbnbなど)は立ち上がっていますが、投資面からのサポートはまだできていないので紹介は今後とします。
投資のタイプ
不動産投資には、以下のタイプがあります。
- 土地・建物を取得し賃貸や売却する現物投資
- 不動産会社が作った組合に参加する小口不動産投資
- 投資家の資金で不動産を取得し賃貸益・売却益を分配するJ-REIT
現物投資は購入した不動産が自分の財産になり、収益も多く得られますが大きな資金が必要になります。
不動産は担保価値があることから、他の投資方法に比べローンを組むのが容易で、大きな自己資金がなくても可能です。
小口不動産投資は、投資組合の組合等に参加し少額の資金から少ないリスクで参加できます。
J-REITは、投資対象が不動産ですが投資信託に分類されます。
不動産投資のメリット
不動産投資には、以下のようなメリットがあり投資法として有力です。
- 土地・建物という現物への投資で財産が増える
- 数十年に渡る長期間安定した収益を生み出す
- 他の投資に比べて収益の変動が少なく、特に大きな利益の低下が少ない
- 運営業務は管理会社に委託でき、副業に最適
- 資金は借りやすく(他の投資では銀行等からの借り出しは不能)、少額からも可能
- 空き部屋等のリスクも管理会社を通して軽減可能
- 節税も可能で遺産相続にも有利など
不動産投資のデメリット
不動産投資には、単独で行う場合は以下に示すような大きな作業・リスクもありますが、保険も含めて専門の管理会社に委託して行うことで軽減できます。
- 土地の取得、建物の建設や維持・管理
- 入居者の募集・管理
- 大きな初期資金(共同で少額投資からスタートも可能)
- 空き部屋による利益の減少など
約束した収益を突然キャンセルされローンの返済に困窮する記事も見られますが、委託を受けた管理会社の問題で、正当に運用する管理会社の選択が重要です。
不動産投資の始め方
不動産投資は、全てを個人で行うと膨大な作業がありますが、専門の管理会社に委託して行うことで、副業として手軽に始めることができます。
それでも何もしないで始めると物件や投資する管理会社を間違える危険もあり、準備が必要でいかにステップを示します。
- 本サイトでも紹介していますが情報を収集して不動産投資の理解
- ある程度理解できたらセミナー等に出席して講師や参加者とリアル情報の交換・取得
- 不動産投資の流れと費用・コスト・収益が見込めるまで繰り返し情報取得と理解
- 本サイトでも紹介していますが投資先・管理会社の情報を収集・選択
- 信頼できる会社か訪問して打ち合わせ・観察
- 納得できたら契約し、約束した通りに管理運用しているか注視
- 納得できない点があれば放っておかず訪問・問い合わせ
- 順調に行けば次の投資の探求
不動産投資のリターン
専門の管理会社を通した現物投資や小口化不動産投資は、収益の目論見書が提示されます。
賃貸需要の多そうな地域では、収益率を5%〜10%ぐらい見込めます。
手数料等もかかりますので、実収入は5%ぐらいと見て投資するのが良いでしょう。
需要の集まる地域
日本は少子高齢社会を迎え、一般的には賃貸需要の大きな増加は見込めません。
しかし、以下のような条件にあう地域の賃貸需要は、比較的大きく長く継続すると予測できます。
- 医療・文化・商業施設の集まる地域やその周辺地域
- 高齢者の集まる医療・文化・商業施設に行きやすい交通の良い地域
- 通勤・通学に便利な地域
- 入れ替わり学生の多い大学・専門学校等の周辺地域
- 勤務者の多い比較的小規模な会社や工場の密接地域など
複利運用で大きなリターン
収益がそれほど大きくなくても、家賃等の収益を再投資する複利運用は、時間をかけると以下に示すように大きなリターンが得られます。
例えば、100万円を年間3%、5%、7%で複利運用すると元利合計は以下になります。
運用益 | 年率3% | 年率5% | 年率7% | |
投資資金 | 1,000,000円 | 1,000,000円 | 1,000,000円 | |
10年目 | 1,343,916円 | 1,628,895円 | 1,967,151円 | |
20年目 | 1,806,111円 | 2,643,298円 | 3,869,684円 | |
30年目 | 2,427,262円 | 4,321,942円 | 7,612,255円 | |
40年目 | 3,262,038円 | 7,039,989円 | 14,947,458円 |
投資はできるだけ早く行うことが、リターンを大きくします。
単身者は収入期間について投資を継続し、夫婦世帯は子供の教育前の共働き時代と子育て終了後に投資をすることが望まれます。
退職金などで定年後から始めても余生が30〜40年もあります。
資産形成は、複利運用と時間が重要です(高い収益率は通常リスクも高くなる)。
投資初心者には不動産投資がオススメ
現状、生命保険や公的年金で老後の資金を作るのは厳しい時代です。
「投資」と聞くと気が引ける人も多いかもしれませんが、不動産投資は比較的ハードルは低いです。
不動産投資のメリットとデメリットをしっかり把握した上で始めると良いと思います。