平成27年度の転職者実態調査(厚生労働省)
平成27年度の厚生労働省の調査ではありますが、当時の今後3年間の転職者採用予定では、転職者採用予定がある事業所は半数に及びます。
現在は転職者を採用する気持ちのある企業の場合は、「新卒を優先して採用したい」が12.2%に比べ、「転職者を優先して採用したい」が33.2%と圧倒的に多くなっており、転職者が有利な状況ともいえます。
転職者を採用する予定がある事業所
全体 52.6%
- 情報通信業 70.5%
- 生活関連サービス業、娯楽業 65.5%
- 運輸業、郵便業 65.1%
転職者を優先して採用したい業界
- 運輸業、郵便業 61.2%
- サービス業 47.9%
- 鉱業、採石業、砂利採取業 45.2%
新卒を優先して採用したい業界
- 電気・ガス・熱供給・水道業 45.2%
- 不動産業、物品賃貸業 21.0%
- 金融業、保険業 20.4%
「転職者を採用する予定がある」と「転職者を優先して採用したい」では大きな開き
実際のところ、「転職者を採用する予定がある」では大きな事業所の方が割合が高いにも関わらず、「転職者を優先して採用したい」では小さい事業所の方が割合が高くなっています。
このため、転職者にとって転職は小さい事業所の方が有利だということがわかります。
今後3年間の採用予定
総数
平成27年時点では転職者を優先したい方が多い結果になっています。今後経済が回復していく兆しがあるかという点では不透明な部分もありますので、即戦力である転職者を優先したいと考える企業は増えていく、もしくは横ばいの傾向になることが予想できます。
鉱業、採石業、砂利採取業
- 転職者採用が19%
- 新卒が4.3%
- どちらでもOK 18.8%
転職者、新卒合わせて42.1%と50%を割っています。
建設業
- 転職者採用が21.6%
- 新卒が7.3%
- どちらでもOK 27.4%
採用予定の割合が高い建設業界。転職者、新卒合わせて56.3%は採用の予定ありと、2社に1社以上は求人予定ありとなっています。
製造業
- 転職者採用が17.3%
- 新卒が7%
- どちらでもOK 25.7%
転職者、新卒合わせて50%と2社に1社は採用予定あり。
電気・ガス・熱供給・水道業
- 転職者採用が1.8%
- 新卒が6.6%
- どちらでもOK 18.4%
転職者、新卒合わせて26.8%、転職者採用優先は1.8%と、途中での転職は難しい業界です。電気・ガスなど公共性の高い分野は新卒から狙うのがポイント。
情報通信業
- 転職者採用が24%
- 新卒が12.6%
- どちらでもOK 33.9%
転職者、新卒合わせて70.5%、求人の意欲が高く、転職者にとっても転職しやすい業界です。IT関連では技術を習得しておけばより転職がしやすくなるといえます。
運輸業、郵便業
- 転職者採用が39.8%
- 新卒が3.7%
- どちらでもOK 21.6%
転職者、新卒合わせて65.1%、新卒はなかなか入り込む余地のない業界で、経験を積んで転職することでスキルアップ、年収アップを狙いたい業界です。
運輸業、郵便業とは
管理・補助的経済活動を行う事業所、鉄道業、一般乗合旅客自動車運送業、一般乗用旅客自動車運送業、一般貸切旅客自動車運送業、その他の道路旅客運送業、一般貨物自動車運送業、特定貨物自動車運送業、貨物軽自動車運送業、集配利用運送業、その他の道路貨物運送業、外航海運業、沿海海運業、内陸水運業、船舶貸渡業、航空運送業、航空機使用業、倉庫業、冷蔵倉庫業、港湾運送業、貨物運送取扱業、運送代理店、こん包業、運輸施設提供業、郵便業(信書便事業を含む)
卸売業、小売業
- 転職者採用が15.5%
- 新卒が6.5%
- どちらでもOK 27%
転職者、新卒合わせて49%、求人に意欲のある業界といえますが、新卒、転職者の差は余りないとも言えます。
金融業、保険業
- 転職者採用が13.1%
- 新卒が7.7%
- どちらでもOK 16.8%
転職者、新卒合わせて37.6%、新規就職、転職の難しい業界で、新卒、転職者の差も余りありません。もし金融業、保険業に就職したい場合にはファイナンシャルプランナーの資格や積極性も大切になってくるといえます。
不動産業、物品賃貸業
- 転職者採用が19.7%
- 新卒が11.4%
- どちらでもOK 23.1%
転職者、新卒合わせて54.2%、新卒と転職者の差は大きくありませんが、宅建などの資格の有無で採用状況は大きく変わってきます。
学術研究、専門・技術サービス業
- 転職者採用が20%
- 新卒が5.3%
- どちらでもOK 27.5%
転職者、新卒合わせて52.8%、専門・技術なだけあり、転職者に大きなアドバンテージがあります。経験や資格で差が開く業界です。
宿泊業、飲食サービス業
- 転職者採用が10.9%
- 新卒が5.9%
- どちらでもOK 38.8%
転職者、新卒合わせて55.6%、慢性的に人材不足ともいわれている飲食業界。新卒、転職者は関係なく求人募集の予定のある企業が多いといえます。
生活関連サービス業、娯楽業
- 転職者採用が18.2%
- 新卒が9.2%
- どちらでもOK 38.1%
転職者、新卒合わせて65.5%、今回の調査した業界内でトップの求人予定割合。
生活関連サービス業、娯楽業とは
普通洗濯業、リネンサプライ業、理容業、美容業、一般公衆浴場業、その他の公衆浴場業、旅行業、家事サービス業、衣服裁縫修理業、物品預り業、火葬・墓地管理業、葬儀業、結婚式場業、冠婚葬祭互助会、写真現像・焼付業、映画館、興行場、興行団、競輪・競馬等の競走場,競技団、スポーツ施設提供業、体育館、ゴルフ場、ゴルフ練習場、ボウリング場、テニス場、バッティング・テニス練習場、フィットネスクラブ、公園、遊園地、パチンコホール、ゲームセンター、その他の遊戯場、カラオケボックス業など
教育、学習支援業
- 転職者採用が7.4%
- 新卒が3.1%
- どちらでもOK 23.5%
転職者、新卒合わせて34%と決して多くはない割合。教育、学習支援業は狭き門であることがわかります。
医療、福祉
- 転職者採用が16.8%
- 新卒が6.4%
- どちらでもOK 33.3%
転職者、新卒合わせて56.5%。医療業界は転職者も多く、求人予定の企業が多いことがわかります。経験者の方が望まれますが、関係なく採用したい割合も多いことから慢性的な人員不足であることも伺えます。
複合サービス事業
- 転職者採用が2.3%
- 新卒が5.8%
- どちらでもOK 22.2%
転職者、新卒合わせて30.3%。仕事の内容的にも縁故などで採用に至るケースも多い業界です。
複合サービス業とは
郵便局 、郵便局受託業 、農林水産業協同組合(農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合、森林組合)、事業協同組合など
サービス業(他に分類されないもの)
- 転職者採用が26.6%
- 新卒が3.8%
- どちらでもOK 25.2%
転職者、新卒合わせて55.6%。
サービス業(他に分類されないもの)とは
廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派遣業、政治・経済・文化団体、宗教、外国公務など
事業所規模別の転職者採用予定
事業者規模 1,000人以上
事業者規模 300~999人
事業者規模 100~299人
事業者規模 30~99人
事業者規模 5~29人
出典:厚生労働省 平成27年度の転職者実態調査 今後3年間の転職者の採用予定等